cataract

白内障とは

白内障は、目の中のレンズである水晶体が濁って、見づらくなってしまう病気です。手術では、この濁りを除去し、代わりに人工の眼内レンズを眼の中に入れ込みます。

手術の方法

水晶体は、水晶体嚢(すいしょうたいのう)と呼ばれる袋と、核および皮質と呼ばれる中身からなっています(図)。手術では濁った水晶体のみを取り出し、残した袋の中へ人工の眼内レンズを入れ込みます。

通常この眼内レンズは一生眼の中に入ったままで、取り替える必要はありません。手術で眼内レンズを入れる予定にしていても、水晶体嚢や支えの部分(チン小帯)が弱い場合は眼内レンズを入れられないこともあります。

眼内レンズの種類

眼の状態と手術時に入れる眼内レンズによって見える範囲に違いがでます。
患者様の眼の状態や生活に適した眼内レンズを選択されることをおすすめします。

また、眼の状態の診断によって眼内レンズの種類が選択できない場合もあります。
くわしくは医師、スタッフにおたずねください。

多焦点眼内レンズの特徴

① 遠くと近くに焦点を合わせているため、日常生活の大半はメガネなしで過ごすことができます。

② 暗いところで光がにじんだり、光の周囲がぼやけて見えたりする症状(ハロー・グレア現象)が起こることがあります。

③ 単焦点眼内レンズに比べ、コントラストの低下(見え方の質の微妙な低下)が起こることがあります。

④ 見え方は慣れるのに、時間がかかることがあります。慣れる時間は個人差があり、6ヶ月以上かかることがあります。

※見え方には個人の差があります。見え方によってはメガネが必要になる場合もあります。

費用(多焦点眼内レンズを用いた場合)

メガネについて

眼内レンズは人間の水晶体のように調節することはできません。
多焦点眼内レンズは、遠くと近くの両方に焦点が合うようになっているレンズですが、人によって合わない場合があります。乱視が強い方は、遠くも近くもハッキリ見るためには、乱視を矯正するためのメガネが必要となります。
眼内レンズの度数の計算は、完全に予定通りになるとは限らず、多少の誤差を調整しますが、誤差の大きい場合は眼内レンズを取り替えることもあります。

手術後の視力について

眼底の異常(糖尿病網膜症、黄斑変性症など)や、目の神経の異常(緑内障や神経の萎縮など)があると、視力が改善しない場合があります。このような視力障害の原因について、手術前に検査を行い、異常があればお知らせするようにしています。
しかし、白内障で混濁が強い場合や、眼の中の異常でよく検査が行えないような場合には、手術後に予想外の病気や眼底変化が発見されることもあります。

副作用・合併症について

(1) 眼の表面の出血や異物感
手術に寄って白目に出血や充血が生じますが、1~2週間で自然に消えますので心配ありません。
手術のキズによる異物感も起こりますが、通常は1週間以内で消失します。

(2) 色や光の変化
手術翌日に中心が赤く見えることがあります。手術の時に顕微鏡の光が強く眼底の網膜にあたったためですが、これは数日で消失します。また、手術の後、色が青っぽく見えたり、光が線を引くように眩しく見えたりすることがあります。この症状も、数ヶ月以内に気づかなくなります。

(3) 後発白内障
手術後、数ヶ月~数年して、水晶体の後ろの膜(水晶体後嚢)が濁ってくることがあります。これは後発白内障といい、レーザーによって治療が可能です。

(4) 水晶体嚢の破損
水晶体嚢は薄く、手術中に破損してしまうことがあります。当院では頻度は0.5%以下ですが、その状態によって様々な対処法がありますので、最善の処置をいたします。水晶体破損のみで、失明することはありません。


上記以外にも合併症は起こり得ます。万が一、手術中にそのようなことがありましたら、その時点で最良と思われる術式に変更する場合があります。手術中に合併症がある場合はご本人、ご家族に状態を説明したうえで対応します。

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