急速に進んだIT化により、様々な職場でコンピュータを使用する作業(VDT作業)が急増し、現在では特定のVDTワーカーだけでなく、だれもが行う一般的な作業となりました。また、技術の進歩と共に、端末(ノートパソコン、電話、ゲーム機)が小型化され携帯が容易になり、移動中場所を選ばず使用できることから、1人平均のVDT作業時間も長時間になっています。
パソコンや携帯電話などが便利で、手放せなくなった今、過剰な作業による健康被害が急増しています。
VDT健診 VDT
VDT健診
VDT健診は特殊健康診断のひとつ
厚生労働省が平成14年に「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定しました。策定理由は「技術革新と労働に関する実態調査」を行った結果、VDT作業者の36.3%が精神的疲労を感じ、77.6%が身体的疲労を感じていることがわかり、VDT作業者の心身の負担の軽減を図り、VDT作業を支障なく続けることができるようにするため、事業所に対し従業員の健康診断を実施し、健康の管理と指導を促すためです。ガイドラインでは一定の条件でVDTの作業区分を分け、必要と思われる調査・検査を業務管理者に勧めています。
※詳しくは厚生労働省のガイドラインを参照ください。
この実態調査は平成10年に行われたもので、現在では、疲労感を訴える方の比率は端末器機の浸透と共に、幅広い年齢層で増えているのではないかと思われます。
特に視力が変化し見えにくい状態や、疲労がたまった状態で無理に作業すると、作業効率も悪くなり、ミスが発生する可能性も高くなります。ですからVDT作業環境をガイドラインに沿って改善できるところを改善し、負担の軽減を図ることが最重要となります。さらに、VDT健診を受診することで、視力や眼の調節力などに異常が無いか、他に病気が無いかなどを確認し、万が一異常があった場合は早めに対処することが大切です。
ガイドライン策定内容の概要
受診の重要度については作業区分により異なっています。(詳しくはガイドラインをご覧下さい)
VDT作業者の疲労などによる主な訴え
症状は眼や身体全体に出ると考えがちですが、眼精疲労が重度になると下記の症状以外にも精神的症状が出る場合もあります。症状がある場合は、休日などは特に眼や身体の休息を第一に考えましょう。
VDT健診の検査内容
主に視力を重視して検査をします。一般であれば遠見(5m)の視力を検査しますがVDTの場合は遠見に加えて中間(50㎝)近見(30㎝)の3種類を検査し、裸眼で十分見えているか、ライフスタイルに合ったメガネ、コンタクトレンズを使用しているかを調べ、疲れに直結する原因を見つけます。他にも疲れと関係のある眼位なども検査します。
また、検査項目についてはご要望に応じて担当者様と調整させていただきます。
検査項目・目的 | 院内 | 出張 |
屈折 近視・乱視・遠視の有無と強さを検査します |
○ | ○ |
眼圧 眼の圧力に異常がないかを検査します |
○ | ○ |
調節力 40cmまでの距離でピントを調節し、物を見ることができるかを検査します |
○ | ○ |
視力(遠・中・近) 生活状態(裸眼・眼鏡・コンタクトレンズ)での見え方を調べ、屈折異常がある場合はレンズを使用して矯正視力(遠中距離 1.2・近距離 1.0)が正常であるかを検査します |
○ | ○ |
眼位輻輳(がんいふくそう) 黒目の位置と近くを見る際に必要な動きである輻輳が正常であるかを検査しま |
○ | ○ |
立体視 両眼をしっかりと使って物を見ているかの検査です |
○ | ○ |
眼底(撮影) 眼の奥の中心部分(視神経乳頭・黄斑部・神経線維・網膜・血管等)の撮影をします。(出張健診:写真を元に眼科専門医が診断します) |
○ | ○ |
眼科診察 眼の周囲や眼球の表面から奥の中心部、周囲に異常がないかを診察します |
○ | × |
疲れ目は眼精疲労?乾き目はドライアイ?
・・・疲れ目と眼精疲労・・・
疲れ目と眼精疲労は同じと考えていることが多いのですが、厳密には少し違います。疲れ目は、症状は出るものの、休息を取ったり一日休むと症状が改善され症状が継続的ではありません。しかし、眼精疲労は症状が重く、継続的で、休息を取りよくなったと思っても直ぐに症状があわられます。症状が続き、辛いと思ったときは我慢せずに一度、眼科の診察を受けましょう。
・・・乾き目とドライアイ・・・
一時的な目の乾きは誰でも経験があると思いますが、症状が短時間で回復する場合は乾き目です。運転時やパソコン、ゲームなどを長時間使用した時によく症状が出ます。この場合、涙があふれる、目がしみるなどの症状も同時に出ることがあります。ドライアイは慢性的に乾いた状態や涙が大量に出るなどの症状があり、この場合は定期的な通院が必要となります。症状が重いコンタクトレンズ装用者はコンタクトレンズの使用を中断していただくこともあります。
症状があるときは我慢をせずに、眼科受診しましょう。
眼科健診に関するお問い合わせはこちら 「眼科健診」電話番号0985-23-6538 |